2変数関数の極限

2変数関数の極限問題

 2変数関数の極限に関する問題を取り上げる.

関数$f(x)=\dfrac{x^3+2y^3}{2x^3+y^3}$は,$(x,y)\rightarrow(0,0)$のとき極限をもたないことを示す.

 極限を考える際に,直線$y=mx,(m\in \mathbb{R})$に沿って,$(x,y)$を$(0,0)$に近づけるとする.

 $x\neq0$とすると, \begin{align} f(x,mx)=\dfrac{x^3+2m^3x^3}{2x^3+m^3x^3}=\dfrac{1+2m^3}{2+m^3} \end{align} となる.ここで,$x\rightarrow0$のとき,$f(x,mx)$は$\dfrac{1+2m^3}{2+m^3}$に収束することが分かる.

 しかし,この極限値は,直線の傾き($m\in \mathbb{R}$)に依存する.

 ゆえに,極限値は$(x,y)$の$(0,0)$への近づけ方に依存するといえる.

 以上より,関数$f(x)=\dfrac{x^3+2y^3}{2x^3+y^3}$は,$(x,y)\rightarrow(0,0)$のとき極限をもたない.(QED)

 この直線に沿って極限をとる方法以外にも,極座標表示を用いる方法もある.