システムのブロック線図の代数的簡略化

システムのブロック線図の簡約化

 制御工学の基本的な部分であるブロック線図を簡約する問題を取り上げる.

問1 次のブロック線図を簡約化し,その伝達関数$Y/U$を求めよ.

 解答の方針としては,適切な場所に任意の変数を割り当て,代数的に解くというものである.他に,ブロック線図を等価交換を施してから計算するという方法もあるが,代数的に解いたほうが個人的には分かりやすく,手間も掛からない.

まず,$G_1$を通過した量を$V$とし,$H_1$を通過した量を$X$とおく.各ブロックにおいて, \begin{align} V&=G_1(U-X)\\ Y&=G_2V\\ X&=H_1(V-H_2Y) \end{align} が求まる.これから,$V,X$を消去すれば, \begin{align} V&=G_1U-G_1H_1V+G_1H_1H_2Y\\ \Leftrightarrow& (1+G_1H_1)V=G_1U+G_1H_1H_2Y\\ &\therefore Y=\dfrac{G_1G_2}{1+G_1H_1}U+\dfrac{G_1G_2H_1H_2}{1+G_1H_1}Y\quad(\because Y=G_2V) \end{align} よって, \begin{align} \dfrac{Y}{U}=\dfrac{G_1G_2}{1+G_1H_1-G_1G_2H_1H_2} \end{align}    このように簡単な代数方程式で伝達関数を求めることができる.

 もう一つ例題を示しておく.

問2 次のブロック線図を簡約化し,その伝達関数$Y/U$を求めよ.

問1と同様に変数を割り当てる.今回は$G_2$に入る量を$V$とおく(1と異なり,通過した量ではないことに注意).各ブロックにおいて, \begin{align} V&=G_2V+Y\\ Y&=G_1(U-G_2V) \end{align} が求まる.よって, \begin{align} (1-G_2)V&=Y\\ V&=\dfrac{1}{1-G_2}Y \end{align} となり, \begin{align} Y&=G_1 U-G_1G_2 V\\ &=G_1 U-\dfrac{G_1G_2}{1-G_2}Y\\ \Leftrightarrow & \dfrac{1-G_2+G_1G_2}{1-G_2}Y=G_1U\\ &\therefore \dfrac{Y}{U}=\dfrac{G_1(1-G_2)}{1-G_2+G_1G_2} \end{align}