全微分可能性の議論

微分可能性について

 全微分可能性について取り上げる.

 始めにランダウの記号$o$について述べておく.

 点$a$の近傍で定義されている関数$f,g$に対し, \begin{align} \lim_{x\rightarrow a}\dfrac{f(x)}{g(x)}=0 \end{align} のとき, \begin{align} f(x)=o(g(x))\quad(x\rightarrow a) \end{align} と書くものである.

微分可能性

 $D\in \mathbb{R}^2$で定義された関数$f(x,y)$が$(a,b)$で全微分可能であるとは, \begin{align} f(x,y)-f(a,b)=m(x-a)+n(y-b)+o(\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2}) \end{align} なる$m,n$が存在するということである.ここで,$m=f_x(a,b),n=f_y(a,b)$である.

つまり, \begin{align} \lim_{(x,y)\rightarrow(a,b)}\dfrac{f(x,y)-f(a,b)-f_x(a,b)-f_y(a,b)}{\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2}} \end{align} が存在するということである.

 このとき,平面 \begin{align} z=f(a,b)+m(x-a)+n(y-b) \end{align} を曲面$f(x,y)$の$(x,y)=(a,b)$における接平面という.

 以上が全微分可能性の定義である.実際に全微分可能性を確かめたい場合には,与えられた関数を全微分可能性の定義に適用し,それが極限を持つかどうかを調べてあげればよい.極限を持つかどうかの議論は,以前述べた直線や曲線に沿って極限をとることで,その値がどうなるかという話題である.